株を同じ日に売って買うメリットと3つの注意点!税金対策の決定版
2026年の最新株式市場において、保有している銘柄を「同じ日に一度売ってから、再び買い戻す」という手法が、多くの投資家の間で注目されています。
「なぜわざわざ同じ日に売買するの?」と不思議に思うかもしれませんが、実はこれには節税対策や取得単価の調整といった、知っている人だけが得をする明確なメリットがあるからです。
一方で、この「同一日売買」には、証券会社のシステム上のルールや、税金の計算方法など、初心者が陥りやすい「落とし穴」もいくつか存在しています。
正しく理解せずに取引を進めてしまうと、「思った通りの節税ができなかった」「平均取得単価が予想外の数字になった」といった事態を招きかねません。
この記事では、株を同じ日に売って買う際の具体的なメリットから、絶対に避けるべき失敗パターン、そして効率的な取引手順までを、専門的な視点で分かりやすく解説します。
取得単価がどう変わる?計算式と具体例で解説
損出し(損切り)による税金還付の仕組みとは
差金決済取引の禁止ルールに抵触しないための注意点
2026年版:ネット証券での同一銘柄売買の手順
- 株を同じ日に売って買う「クロス取引」の基本ルール
- 取得単価がどう変わる?計算式と具体例で解説
- 損出し(損切り)による税金還付の仕組みとは
- 差金決済取引の禁止ルールに抵触しないための注意点
- 2026年版:ネット証券での同一銘柄売買の手順
- 「損出し」を成功させるための具体的な売買戦略
- 取得単価を意図的に下げる「平均単価調整」のメリット
- 同一日売買で発生する「隠れたコスト」に注意せよ
- 信用取引を活用した「現引・現渡」の高度なテクニック
- 「差金決済取引」の禁止ルールを具体例で再確認
- 特定口座と一般口座での「同一日売買」の取り扱いの違い
- 機関投資家の「クロス取引」と個人投資家の違い
- スマホで完結!最新証券アプリのクロス取引操作ガイド
- 【FAQ】株の同一日売買に関するよくある質問
- 2026年の新制度:同一日売買に影響する変更点はあるか
- まとめ:株の同一日売買を賢く使いこなすための最終アドバイス
株を同じ日に売って買う「クロス取引」の基本ルール

同一日・同一銘柄売買の基本的な仕組み
株を同じ日に売って買う行為は、投資の世界では一般的に「クロス取引」や「同一日売買」と呼ばれます。
この取引の最大の特徴は、保有している銘柄のポジション(持株数)を変えずに、帳簿上の「取得価格」や「損益」を確定させることができる点にあります。
例えば、1,000円で購入した株が800円に値下がりしているとき、一度売却してすぐに800円で買い戻せば、保有数は変わらないまま、200円分の損失を確定させることができます。
これは特に、年末の節税対策(損出し)として非常によく使われる手法です。
しかし、同じ日に同じ銘柄を売買する場合、証券会社の計算上は「売ってから買った」のか「買ってから売った」のかに関わらず、その日の取引を合算して計算されるというルールがあります。
この計算ルールを知らないと、思わぬ計算違いが発生するため注意が必要です。
現物取引と信用取引での違い
同一日売買を行う上で、必ず理解しておかなければならないのが「現物取引」と「信用取引」の違いです。
現物取引で同じ銘柄を何度も1日のうちに売買する場合、「差金決済」の禁止というルールに注意しなければなりません。
これは、同じ資金を何度も回転させて同じ銘柄を売買することを制限する法律上のルールです。
一方、信用取引を活用すれば、この制限を受けずに柔軟なクロス取引が可能になります。
効率的に取引を行うのであれば、信用取引口座を開設しておくことが、現代の投資家にとってはスタンダードな選択肢と言えるでしょう。
2026年現在、主要なネット証券ではクロス取引専用の注文ボタンが用意されていることも多く、操作ミスを防ぐ工夫がなされています。
取得単価がどう変わる?計算式と具体例で解説
平均取得単価の再計算ルールを徹底解剖
株を同じ日に売って買った場合、最も混乱しやすいのが「平均取得単価」の変動です。
日本の税制上、同じ日に同じ銘柄を売買すると、まず「買い」の取引がすべて先に行われたものとして計算され、その日の終わりの「平均単価」が算出されます。
つまり、「1,000円で持っていた株を900円で売って、その後に800円で買い戻した」としても、計算上は「1,000円の株と800円の株を混ぜて、平均900円になったものを売却した」という処理になるのです。
このため、自分の感覚的な損益と、証券会社の画面上に表示される損益にズレが生じることがあります。
これを防ぐためには、売却した日と買い戻す日を「あえて1日ずらす」という手法も有効です。
しかし、1日ずらすと夜間の市場変動リスク(PTS取引や米国市場の影響)を受けることになるため、どちらが良いかは戦略次第です。
具体的なシミュレーション:100株の売買ケース
では、具体的な数字を使って見てみましょう。
| アクション | 株価 | 株数 | 計算上の単価 |
| 元々の保有 | 1,500円 | 100株 | 1,500円 |
| 当日中の売却 | 1,200円 | 100株 | (利益確定/損切り) |
| 当日中の買戻 | 1,100円 | 100株 | 1,300円(※) |
(※)この場合、1,500円と1,100円の平均である「1,300円」が新しい取得単価として記録されるケースが一般的です。
このように、安く買い戻したつもりでも、元々の高値での取得単価が計算に混ざってしまうのが同一日売買の複雑な点です。
このルールを逆手に取り、取得単価を意図的に下げることで、将来的な利益確定時の税金を抑える戦略も可能です。
損出し(損切り)による税金還付の仕組みとは
損出しのメリットと確定申告の必要性
多くの投資家が「同じ日に売って買う」最大の理由は、「損出し(そんだし)」にあります。
損出しとは、含み損を抱えている株を一度売却して損失を確定させ、同じ年の他の利益と相殺(損益通算)することで、源泉徴収された税金を取り戻す手法です。
特に「特定口座(源泉徴収あり)」を利用している場合、損切りをした翌営業日には、払いすぎていた税金が口座に還付されます。
これにより、手元のキャッシュ(余力)を増やすことができ、その資金を再び投資に回すことができるため、運用効率が劇的に向上します。
ただし、NISA口座での損失は損益通算ができないため、この手法はあくまで特定口座や一般口座での取引が対象となる点に注意しましょう。
2026年の税制における損益通算の注意点
2026年現在、株式投資の利益にかかる税率は約20.315%ですが、これには所得税と住民税、そして復興特別所得税が含まれています。
損出しを行う際は、年間の通算利益がいくら出ているかを正確に把握する必要があります。
もし利益が出ていない状態で損出しだけを行うと、その損失を翌年以降に繰り越すための確定申告が必要になります。
「同じ日に売って買う」ことで、ポートフォリオの中身を変えずに税負担だけを減らせるというのは、長期投資家にとっても非常に魅力的なテクニックです。
ただし、年末ギリギリの取引には「受渡日」の概念があるため、最終営業日の2営業日前までに取引を済ませておくのが鉄則です。
差金決済取引の禁止ルールに抵触しないための注意点
なぜ差金決済は禁止されているのか
同一日売買で最も注意すべき法律上の制限が「差金決済(さきんけっさい)の禁止」です。
これは、現物取引において、証券会社に預けている資金以上の金額で、同じ日に同じ銘柄を繰り返し売買することを禁じるルールです。
例えば、100万円の資金でA株を100万円分買い、それを同じ日に110万円で売却したとします。
この後、もう一度同じ日にA株を100万円分買おうとしても、制度上は売却代金の110万円をその日の買い付け資金に充当することが制限される場合があります。
これは、裏付けとなる資金がない状態で、売買の差額だけをやり取りする「架空の取引」を防ぐための措置です。
このルールに抵触すると、証券会社から注文を拒否されたり、最悪の場合は口座制限がかかるリスクもあります。
差金決済を回避するスマートな方法
差金決済のルールを回避して、同じ日に自由に売買を行いたい場合は、以下の2つの方法が推奨されます。
- 信用取引口座を利用する:信用取引であれば、同じ資金を1日のうちに何度でも回転させて同じ銘柄を売買することが認められています。
- 十分な買付余力を残しておく:売却代金を使わずに、別途用意した現金で買い戻しを行うのであれば、差金決済には該当しません。
多くのデイトレーダーや、クロス取引を頻繁に行う投資家が信用取引を活用しているのは、まさにこのためです。
「同じ日に売って買う」という戦略を頻繁に使うのであれば、信用取引の仕組みをマスターすることが、プロへの第一歩となります。
2026年版:ネット証券での同一銘柄売買の手順
主要ネット証券での注文操作のポイント
2026年のネット証券アプリは、同一日売買をサポートする高度な機能を搭載しています。
以前は「売り注文」を出した後に「買い注文」を別々に操作していましたが、現在は「クロス注文(同時発注)」ボタン一つで完結する場合がほとんどです。
これにより、売りと買いの間に生じる「価格差(スリッページ)」を最小限に抑えることが可能になりました。
また、手数料についても「1日定額プラン」を採用している証券会社を選べば、売って買う往復のコストを大幅に節約できます。
スマホ一つで、いつでもどこでも自分のポートフォリオを最適化できる時代です。
失敗しないためのチェックリスト
実際に注文を出す前に、以下の項目を必ずチェックしてください。
- 取引区分の確認:現物なのか、信用(制度・一般)なのかを間違えない。
- 板の厚さ(流動性):自分の注文で株価が大きく動いてしまわないかを確認する。
- 平均取得単価の予測:取引後に画面上の単価がどう変わるか、シミュレーションしておく。
慣れてしまえば数分で終わる作業ですが、一つ一つの設定が税金や将来の利益に直結するため、慎重に行いましょう。
「損出し」を成功させるための具体的な売買戦略
年末の損出しラッシュで気をつけるべき市場心理
毎年12月に入ると、多くの個人投資家が含み損を抱えた銘柄の「損出し」を一斉に行います。
この時期、特に中小型株や新興市場の銘柄では、実需に基づかない「節税目的の売り」が先行し、株価が一時的に押し下げられる現象がよく見られます。
同じ日に売って買うクロス取引を行う場合、こうした市場全体の需給バランスを意識することが、より有利な価格で買い戻すためのカギとなります。
具体的には、前場の寄り付き直後に売りが集中しやすい傾向があるため、少し時間を置いて落ち着いたタイミングでクロスをかけるといった工夫が考えられます。
また、自分が損出しを考えている銘柄が、他の多くの投資家にとっても「損出し対象」になりやすい銘柄(年初から大きく下げている銘柄など)である場合、板の動きが非常に激しくなることを覚悟しておかなければなりません。
2026年の相場環境においても、こうした季節性は色濃く残っており、スマートな投資家はあえて11月中に損出しを済ませるなど、混雑を避ける動きを見せています。
損出し後の「リバウンド」を逃さない買戻しのコツ
損出しのために売却した後、すぐに買い戻す理由は、その銘柄の将来的な上昇(リバウンド)を期待しているからです。
もし売却してから買い戻すまでの間に時間が空いてしまうと、その間に株価が急騰してしまい、結果的に「安く売って高く買い直す」という最悪のパターンに陥るリスクがあります。
これを防ぐためには、成行注文で売りと買いを同時に出す、あるいは「指値」であっても上下に注文を並べて同時約定を狙うのが基本です。
ただし、前述の「平均取得単価の合算ルール」があるため、当日の安値で買い戻しても、帳簿上の単価はそれほど下がらないことがあります。
「節税額」と「取引手数料」、そして「買戻し時のスリッページ」を総合的に比較し、トータルでプラスになるかどうかを冷静に判断しましょう。
取得単価を意図的に下げる「平均単価調整」のメリット
ナンピン買いと同一日売買の組み合わせ技
「平均取得単価」を下げることは、投資家にとって精神的な安定をもたらすだけでなく、将来の利益確定時のハードルを下げる効果があります。
通常、株価が下がった時に買い増す「ナンピン買い」を行えば平均単価は下がりますが、これには追加の資金が必要です。
しかし、同一日売買を活用すれば、追加資金を最小限に抑えつつ(あるいは資金を増やさずに)、高値で掴んでいたポジションを一度リセットして低単価に書き換えることができます。
例えば、1,000円で持っている株が700円になったとき、一度売って700円で買い直せば、見た目の取得単価は700円台(合算ルールの影響を受けるが、確実に下がる)になります。
これにより、「あと300円戻らないと利益が出ない」というストレスから解放され、「あと50円戻ればプラマイゼロ」といった前向きなマインドで相場に向き合えるようになります。
税金計算上の「取得価額」が将来の利益を左右する
将来、その株が大きく値上がりして売却する際、税金は「売却価格 – 取得価額」に対してかかります。
同一日売買で損失を確定させ、取得単価を下げておくことは、いわば「利益の先食い」を防ぎ、税金の支払いを先送りにしている状態とも言えます。
2026年の投資戦略において、複利の効果を最大化するためには、今払うべき税金をいかに繰り延べ、運用資金を減らさないかが極めて重要です。
取得単価の調整は、単なる見栄えの問題ではなく、緻密なキャッシュフロー管理の一環として捉えるべきなのです。
同一日売買で発生する「隠れたコスト」に注意せよ
売買手数料のスパイラルから抜け出す方法
同じ日に売って買うということは、1回の「持ち替え」で2回分の手数料が発生することを意味します。
1日の取引金額が大きい場合や、手数料が高い対面証券を利用している場合、このコストは無視できないものになります。
例えば、数万円程度の損失を確定させるために、往復数千円の手数料を払ってしまっては、節税効果が薄れてしまいます。
現在のネット証券では「1日定額プラン(100万円まで無料など)」が主流ですが、自分の取引スタイルに合わせたプラン選択ができているか、今一度見直してみましょう。
特に2026年は、手数料競争がさらに激化しており、特定の条件を満たせば売買手数料が完全無料になる証券会社も増えています。
スプレッド(価格差)がもたらす実質的な損失
手数料以外にも、目に見えないコストとして「スプレッド(売値と買値の差)」があります。
特に出来高が少ない(人気がない)銘柄でクロス取引を行おうとすると、売るときは安く叩かれ、買うときは高く吊り上げられることになり、実質的な損失が膨らみます。
「1,000円で売って、1,000円で買い戻す」つもりが、実際には「995円で売れて、1,005円で買うことになった」というケースは珍しくありません。
この場合、1株あたり10円(1%)も損をしていることになり、1,000株なら1万円の損失です。
クロス取引を行う際は、必ず「板(気配)」を確認し、十分に注文が入っているタイミングを狙いましょう。
信用取引を活用した「現引・現渡」の高度なテクニック
現物株を売らずに損失を確定させる方法
株を同じ日に売って買う際、現物株をそのまま売買するのではなく、信用取引を組み合わせて利用する手法があります。
まず、保有している現物株と同じ銘柄を、信用取引で「新規売り(空売り)」します。その後、現物株を「現渡(げんわたし)」することで、実質的な売却を完了させます。
一方で、同時に信用取引で「新規買い」を行い、それを「現引(げんびき)」すれば、再び現物株として保有し続けることができます。
この手法の利点は、市場価格の変動リスクを完全に排除しながら、損失確定の処理を行える点にあります。
一見複雑に見えますが、ネット証券のツールを使えば比較的スムーズに操作可能です。
金利や貸株料といった信用固有のコスト管理
信用取引を利用する場合、現物取引にはない「金利」や「貸株料」といったコストが発生します。
もっとも、1日のうちに取引を完結させる「日計り取引」であれば、これらのコストは極めて少額、あるいは無料に設定されていることが多くなっています。
ただし、制度信用取引で「逆日歩(ぎゃくひぶ)」が発生している銘柄の場合、思わぬ高額コストを請求されるリスクがあるため、貸借状況の確認は必須です。
初心者のうちは現物同士の売買で十分ですが、取引量が増えてきたらこうした信用取引のテクニックも検討してみる価値があります。
「差金決済取引」の禁止ルールを具体例で再確認
もし差金決済ルールを破ってしまったらどうなる?
意図せず「差金決済」に該当する注文を出そうとすると、通常、証券会社のシステム側でエラーが表示され、注文が通りません。
「なぜ自分の金なのに自由に売買できないんだ!」と憤慨する方もいますが、これは日本の金融商品取引法で定められた厳格なルールです。
例えば、100万円の余力がある口座で、A社株を100万円分買い、その日のうちに100万円で売却。さらにその直後にまたA社株を100万円分買おうとする行為が、典型的な差金決済の禁止に当たります。
この場合、2回目の買い注文に必要な100万円は、最初の買いで使った100万円とは「別の資金」でなければならないとされています。
売却代金が口座に戻ってくるのは、受渡日(通常2営業日後)になるため、当日中は「まだその金は使えない」というのが基本的な考え方です。
別銘柄への乗り換えなら問題なし!
重要なのは、差金決済が禁止されているのは「同一日に同一銘柄を同じ資金で回転させること」に限定されている点です。
A社株を売った代金で、同じ日にB社株を買うことは、差金決済には該当しません(※証券会社によって余力の計算方法は異なりますが、法律上は認められています)。
したがって、どうしても同じ日に資金を回転させたい場合は、「A社株を売って、似たような値動きをするB社株(ライバル企業やETFなど)を買う」という代替案も検討すべきです。
また、前述の通り、信用取引口座であればこの制限は事実上無視できるため、頻繁な売買を予定しているなら信用口座の開設は不可避と言えるでしょう。
特定口座と一般口座での「同一日売買」の取り扱いの違い
特定口座(源泉徴収あり)が最強である理由
個人投資家の多くが利用している「特定口座(源泉徴収あり)」であれば、同一日売買による損益計算や税金の還付処理は、すべて証券会社が自動で行ってくれます。
損切りをしたその日の夜には、年間の利益からマイナスが差し引かれ、翌営業日の朝には還付税金が買付余力に反映されるスピード感は、投資効率を最大化する上で非常に大きな武器です。
自分で難しい計算をする必要がないため、同一日売買における「合算ルール」をそれほど意識しすぎなくても、結果的に正しく納税・還付が行われる安心感があります。
一般口座での取引は計算地獄に陥るリスク
一方、未だに「一般口座」を利用している場合、同一日売買の計算はすべて自分で行い、確定申告書に記入しなければなりません。
平均取得単価の計算(移動平均法)を、一日の取引ごとに時系列で追っていく作業は非常に煩雑で、ミスが発生しやすいポイントです。
もし計算ミスがあれば、後日税務署から指摘を受け、追徴課税を課されるリスクもあります。
特別な理由がない限り、同一日売買を戦略に組み込むのであれば、特定口座への一本化を強くおすすめします。
機関投資家の「クロス取引」と個人投資家の違い
大口のクロス取引が株価に与える影響
個人投資家が数千株程度のクロス取引を行っても市場への影響は軽微ですが、機関投資家が行うクロス取引(バスケット取引など)は、時に株価指数の動きをも左右します。
彼らは節税目的だけでなく、ファンド内の資産構成(ポートフォリオ)のリバランスや、配当取りのための権利移転目的で巨大なクロス取引を仕掛けてきます。
同一日売買を行う際、こうした大口の「気配」を感じ取ることができれば、便乗して有利な取引ができるかもしれません。
例えば、引け間際に巨大なクロス注文が出ることが予測される場合、その直前の価格の歪みを狙うデイトレード手法なども存在します。
「見せ板」や「相場操縦」と疑われないために
個人投資家が同じ日に大量の売買を繰り返す際、注意しなければならないのが「不公正取引」の疑いです。
実質的に所有権を移転させる意思がないのに、あたかも取引が活発に行われているように見せかける行為は、相場操縦として規制の対象になります。
もっとも、通常の「損出し」目的の同一日売買(一度売って、すぐに1回買い戻す)程度であれば、正当な理由がある取引として認められます。
しかし、同じ価格で何十回も売り買いを繰り返して出来高を水増しするような行為は、証券会社のコンプライアンス部門から警告が来る可能性があるため、絶対に控えましょう。
スマホで完結!最新証券アプリのクロス取引操作ガイド
SBI証券や楽天証券での具体的な注文画面
国内最大手のSBI証券や楽天証券では、スマートフォンの取引アプリが非常に進化しています。
「保有証券一覧」から損切りしたい銘柄を選び、そのまま「売却注文」を出し、約定を確認したら即座に「買付注文」を出すプロセスが、わずか数タップで完了します。
一部のアプリでは、損益通算後の概算還付額をその場でシミュレーションしてくれる機能もあり、非常に便利です。
外出先でも、急な相場急落に合わせて「今すぐ損出しをして余力を確保したい」というニーズに応えてくれます。
指値(さしね)と成行(なりゆき)、どちらが良い?
同一日売買を行う際、最も悩むのが注文方法です。
確実に、かつ同時に約定させたいのであれば「成行注文」が基本です。
指値注文の場合、片方だけが約定してもう片方が取り残される「片肺(かたはい)」状態になるリスクがあり、その間に株価が動いてしまうとクロス取引の目的が果たせなくなります。
ただし、板が薄い銘柄での成行注文は、とんでもない高値や安値を掴まされる危険があるため、その時だけは慎重に指値を置くか、取引を見送る判断も必要です。
【FAQ】株の同一日売買に関するよくある質問
Q:NISA口座で同じ日に売って買い直すのは意味がある?
結論から言うと、NISA口座での損出し目的の売買は全く意味がありません。
NISAはもともと利益が非課税になる仕組みであり、その口座内で発生した損失は「なかったもの」として扱われます。
他の特定口座の利益と損益通算することはできないため、わざわざ手数料を払ってクロス取引をするメリットはないのです。
ただし、NISA枠を翌年以降のために一度空けたい、あるいは取得単価の表示をリセットしたいという「記録上の理由」であれば行うことは可能ですが、非課税枠の消費には注意が必要です。
Q:売却して「次の日」に買い戻すのと、どっちが良い?
これは投資家の「リスク許容度」によります。
同じ日に売買すれば、前述の合算ルールの影響を受けますが、売買価格の差を最小限に抑えられます。
次の日に買い戻せば、計算上は完全に分離されるため、「いくらで売って、いくらで買ったか」が明快になりますが、夜の間に悪材料が出て株価が暴落したり、逆に好材料で窓を開けて急騰したりするリスクを負うことになります。
確実性を重視するなら当日クロス、計算の分かりやすさを重視するなら翌日買戻し、という使い分けが良いでしょう。
Q:PTS(夜間取引)でのクロス取引は可能?
多くのネット証券ではPTS取引を提供していますが、PTSでの売買も基本的には「翌営業日の取引」として扱われる場合が多いです。
したがって、深夜にクロス取引を行っても、それは翌日の日中取引と合算されることになります。
また、PTSは日中よりもさらに板が薄いため、クロス取引によるコスト(スプレッド)が大きくなりやすい点には細心の注意を払ってください。
2026年の新制度:同一日売買に影響する変更点はあるか
デジタル課税や証券税制の動向
2026年にかけて、政府内では「金融所得課税の一体化」や「デジタル資産への課税強化」など、投資にまつわる税制の見直しが断続的に議論されています。
現在、株式の同一日売買に直接ブレーキをかけるような法改正は行われていませんが、将来的には「短期売買に対する課税率の変更」などが浮上する可能性もゼロではありません。
最新のニュースに常にアンテナを張り、ルールが変わる前に有利なポジションを構築しておくことが、生き残る投資家の条件です。
AIを活用した自動クロス取引ツールの台頭
2026年の投資シーンでは、個人投資家でもAI(人工知能)を活用して「最も有利なタイミングでクロス取引を自動実行する」ツールが普及し始めています。
これを使えば、板の状況を0.01秒単位で監視し、自分の指定した条件(手数料とスプレッドを加味してプラスになる瞬間)で一瞬にして売買を完結させることが可能です。
こうしたテクノロジーの進化を拒むのではなく、いかに自分の武器として取り入れていくかが、今後の運用成績に直結します。
まとめ:株の同一日売買を賢く使いこなすための最終アドバイス
「節税」が目的化して「投資」が疎かにならないように
ここまで詳しく解説してきた通り、株を同じ日に売って買う手法は、正しく使えば強力な節税・運用ツールになります。
しかし、最も大切なのは「その株を持ち続ける価値があるのか?」という根本的な投資判断です。
節税のために無理にクロス取引を繰り返し、結果的に成長性のないボロ株を持ち続けて資金を塩漬けにしてしまっては本末転倒です。
「損出し」はあくまで手段であり、目的は「将来の資産を最大化すること」であることを忘れないでください。
初心者でも今日からできる3ステップの実践
もし、あなたの口座に含み損の銘柄があるなら、まずは以下の3ステップを試してみてください。
- 現在の利益額を確認:今年すでに確定した利益がいくらあるか、証券会社のマイページでチェック。
- 還付額を予測:損切りしようとしている金額の約20%が、いくらになるか計算してみる。
- 取引コストを確認:自分の利用しているプランで、往復の手数料がいくらかかるか把握する。
この計算の結果、還付額がコストを大きく上回るのであれば、迷わず同一日売買を実行すべきです。
2026年の荒波を乗り越えるために、こうした細かな「負けない技術」を一つずつ習得していきましょう。
あなたの投資ライフが、より効率的で実りあるものになることを心から応援しています。














